「死ぬな! 自殺3万人時代に」=(2)経済苦から自殺2005年06月08日 06:17

 2回目、6月6日の記事は「命で返済 必要ない」。
 借金や生活苦による自殺は、04年が7947人。
  • 1、旅館の経営者が自殺しようとした。借金が1億5千万、「体も変調をきたしてきた」(これは、うつの症状だろう=管理者)。3の勉強会のことを知り、旅館を手放すが、死ぬことをやめる決意をした。
  • 2、このような自殺を防止するための弁護士らによる取り組みがある。
     佐賀県弁護士会の弁護士の話。  「借金は法的に対応でき、死ぬ必要は100%ない。避けられる、死ななくていい自殺なんだ」
  • 3、東京に、借金返済や倒産防止のコンサルタントが主催する勉強会がある。「借金の解決方法はいくらでもある。借金なんかで死ぬな」。
 以上が、記事の要旨だ。
 借金や生活苦による自殺は非常に多い。だが、自殺する必要はないという。支援してくれる組織もあるのだろう。だが私もよく知らない。とすれば、それを啓蒙する必要がある。

 借金や生活苦からも、うつ病になってから、自殺するケースが多いだろう。うつ病になってからは種々の判断力、行動力が変化するから、冷静な解決方法を考えること、行動を起こすことができない。そこで、この問題に詳しい組織、コンサルタントに相談するのがよいのだろう。市役所などでも、相談を受ける日がある。 この問題も、うつ病が関係しているが、医師の薬物療法だけでは救済できないことである。

 死にたくなったら、うつ病らしいとわかったら、何でも「医者に行け、薬物療法を受けよ」というだけではなくて、その背景が、本人に、「借金や生活苦」によるとわかっている場合、医者に行くことは少ないだろうから、背景にある問題に応じて、専門の相談機関に行くか、それがどこにあるかわからない人のために「何でも相談」の窓口になるところがあればいい。そこから、適切な相談機関を紹介するネットワークを構築する。
 今でも、あるのだろうが、借金や生活苦による自殺がこれだけ多いというのは、別な仕組みが必要なのであろう。
 私もカウンセリング(ボランティア)を行っているが、法律問題に詳しいボランティア・スタッフが参加してくれれば、経済苦によるうつ病のクライアント(来談者)がきた場合、心理的なカウンセリングだけではなくて、経済問題の解決への助言、相談機関の紹介をする体制にしたい。あるいは、自らの組織内にスタッフを持たないでも、近くのNPO、弁護士会、など相談できるところの情報を得ておいて、そこに相談にいくようにすすめるネットワークを作ってもよいわけだが、今は、心理カウンセラーの養成に忙殺されている。今後の課題である。
 どこのカウンセリング所や病院でも、そういう、うつ病の背景にまで踏み込まないと、自殺はなくならないだろうということは推測できる。うつ病は薬物療法が確立しているといっても、経済苦、対人関係、いじめ、などの心理ストレスが、その薬物の効果など無きものにしてしまう。うつ病は単純な病気ではない。

パニック障害の患者は「うつ病」になることが多い2005年06月08日 06:42

パニック障害の患者は「うつ病」になることが多い

 パニック障害の患者は、その症状の重さや行動の制限による苦悩から、「うつ病」になることが多い。次のように、高い割合で、うつ病が並存(50-75%)しており、自殺念慮を持つ割合も高いという報告がある。
  • 「パニック障害患者の半数から4分の3にうつ病がみられている。」(1)
  • 「症状による日常生活機能の障害と、(不安に負けて何もできない)みずからを情けないと感じる意気消沈のため、続発性のうつ状態に陥る。約60%の患者に見られる。」(2)
  • 救急外来の患者(救急者で運ばれて受診した例)
    「パニック障害と診断された症例の25%が自殺念慮をもっており」 (3)
 パニック障害から、うつ病を併発が多い。そして、自殺ということもある。パニック障害になったら、薬物療法もいいが、心理療法がよい。心理療法で治せば、完治し、再発が少ない。
 パニック障害になった人で、薬物療法だけで軽くなっても、「完治した。もう大丈夫だ。」と言い切れない人は、心理カウンセリングを受けるほうがよい。ライフイベント(人生上の大きな出来事)によるストレス対処に強い心になっておいたほうがよい。

(注)
  • (1) 越野好文(金沢大学大学院脳情報病態学(神経精神医学)教授「パニック障害とは何かーどんな症状か」(「こころの科学」107号、日本評論社、18頁。)
  • (2)竹内龍雄(帝京大学医学部附属市原病院精神神経科教授)「パニック障害とは何かー経過と見通し」(「こころの科学」107号、日本評論社、24頁。)
  • (3)岸康宏(ミネソタ大学神神科)「パニック障害とは何かー救急外来とパニック障害」(「こころの科学」107号、日本評論社、40頁。)