ニートの子どもに親苦悩2005年11月08日 21:19

 NHK総合テレビで、「急増するニート・親の苦悩」(クローズアップ現代)があった。(11月7日)
 ニートから脱出する親たちの試みが紹介された。キャリア・カウンセリングからの支援であった。ニートの子どもも働きたいのだが、働けないのだ、親が責めるだけだは解決しない、ということであった。親が、子どもと会話して問題に気付いて、問題解決に向けて適切な対応をしていくのがよい、という。責めるだけではなくて、日常身見近なできることをさがしてやって、少しづつ自信をつけられるようにしていく方向が教えられた。身近かなところでの行動をするということの中で解決の糸口をさがそうとする「行動療法」的な手法に見えた。

 こういうニートの支援活動の中では、やはり、心の病気やストレスによる心身症という視点もあれば、解決がもっと早いだろうと思う。

 ニートは、病気によるものだけではないのだが、それでも、心の病気、心身症によるものがある。そういうケースでは、それを治療しない限り、いくら、責められても、会話しても、働けない。
 テレビで紹介された次のケースは、病気であるようだ。同様の状況があれば、親が子どもの問題を把握することが重要だが、病気の場合、働きかけは親よりも、専門家による病気の治療をするべきだと思う。親の介入の限度を考慮しないと、かえって長引かせて、悪い状況においこむ。病気ならば、病気を治すことは、専門家の支援を得るのが賢い。
  • 母親が泣きながら、子どもの状況を語っていた。「5年の間に自律神経の病気になりまして。「俺が一番苦しいんだ」とか「こんな子どもに生んで」とか責められても何をしてやることもできないし」
     こう語っておられたが、この子どもの場合、うつ病になっているようだ。自律神経の症状があり、自己否定があり、外に出ていく意欲がないのだから、うつ病であることが推測される。こういうケースの場合、キャリア・カウンセリング以前に、うつ病を治療しないといけない。家庭では、うつ病を治すノウハウはまずないので、うつ病の専門のカウンセリングを受けるのがニートからの脱出の早道であろう。こういう事例がある場合、病気のカウンセリングを受けるように言うべきだ。
  • 30代前半の男性がニートのケース。6年前大学を中退、就職試験を続けて失敗。それ以来、働こうとしない。親は3年前に、定年退職、子どものニートにあせり、責めるが働かない。精神科医に相談したが改善しない。子どもは、外に出かけるが、親は会話ができず、何をしているかわからない、という。
     うつ病の中には、軽いうつ状況が何年も持続するものもある。それかもしれない。そうすると、意欲がわかない。就職できないという心理ストレスが持続する場合、薬物療法だけでは、治りにくいので、心理カウンセリングでないと治りにくいだろう。
  • 実名で出てきた、桐生の小池たかしさん(30歳)さんのケ-スも、軽い「うつ病」のようだが、その視点からではなくて、親が子どもの「心の傷」(こういう言葉が出るので、心の病気らしいとは自覚があった)に気がついて、やさしく接していくことで、ニートから抜けていく可能性をみつけることが紹介された。薬物療法で、うつ病をよく治せない現状では、家庭がとりくむしかなかったのだろう。だが、心理療法もある。
     小池さんの場合、2回の就職体験があったが、1回目は残業が多くて、体調を崩した。2つ目は、きびしいノルマがあって、毎日のように、叱責されて、「自分はダメ人間だと思った、という。再び、体をこわし、退社。2度の挫折が「心の傷」となって、働けなくなった。実家に戻り、1年働かない。
     小池さんの場合、父親が、幼いころから、きびしくしつけてきたので、苦しい胸のうちを親に相談できなかったようだ。ニートになって、半年、 父がそれに気がついて、「外で就職しろ」ということをやめて、自分の仕事(縫製の仕事、そと回りなど)を手伝ってもらった。そのうちに、たかしさんは、自信がついてきて、就職活動をするようになった。
     小池さんの場合、父親の機転で、子どものニートからの脱出ができそうだ。一種の作業療法で治っていくようだ。
     だが、他のケースがこううまくいくとは限らない。詳細は、省略するが、たかしさんも「うつ病」になっていたようだ。うつ病でも、体調が悪くなる症状がある。一回目の挫折は、過労による軽いうつ病(ないし、仮面うつ病)、2回目は、1回目のうつ病をひきずりながらの厳しいストレスで、また、うつ病の悪化。当時の自分の心のうちを語っていることから推測できる。だが、ご本人も、両親も、うつ病という視点には気がついておられなかったようだ。うつ病であれば、行動的介入よりも、心のカウンセリングのほうが、早く治る。このケ-スでは、両親の行動的介入によって、治っていった。
 うつ病は、薬物療法でなくても、治ることが多い。意欲がない、外出したくない、というのも、うつ病にある症状でもある。ニートの一部は、そういうことかもしれない。体調をくずして、ニートになっている、意欲がない、外出したくない、人に会いたくない、というならば、うつ病である可能性がある。そうであれば、うつ病のカウンセリングを受けないと、いくら、キャリア・カウンセリングを受けても、ニートから脱出できないだろう。そういうことに詳しい、相談機関にも助言を得るべきだ。そうしないと長引く。うつ病ならば、行動的介入でも治ることがある、だが、認知的介入が効果が早いということで、認知療法が発展した。それで反応しない場合でも、自分の「認知のしかた」を洞察する療法がさらに高い治癒率があることがわかってきた。
 ニートの支援には、必ず、まず、心の問題の視点も入れていかないと、支援対策にズレがおきます。心の病気ではない、と判明した人に対しては、それ以外の支援をすればよい。
 ニートになっている人の中には、うつ病、パニック障害、対人恐怖症、心身症などの病気によるものもあるということを考慮していないと、本人と家族の苦悩を長引かせるでしょう。

「退学するな」大学が支援2005年10月17日 09:36

 10月6日の朝日新聞に

「退学するな」大学が支援

という記事がありました。
 国立大学生の退学、休学、留年が増え続けている。国立大学の退学率は、1.6%で、私立大学は3.3%。ニート増加を前に、大学では、手取り足取りの、学生支援対策をとり始めた。
 紹介されているのは、授業内容が難しくてついていけない人に、宿題支援、特別の講座、試験対策などを助言することが詳細だ。
 わずかに「対人関係」の相談の1語がある。
 関東学院大学の松井工学部長がこう話す。「中退問題は大学にも責任がある。中退者がその後ニートなどになれば社会問題にもつながる。教職員側も「自ら学ぶはず」という従来の大学生像を変えなくてはならない」

 小中高生に、うつ状態、片頭痛がかなり多いことが判明しているが、大学生にも、こういう心の病気、心身症のほか、対人恐怖症がありそうだ。こういう病気を治す(薬物療法で治らない場合)ことも支援しないと、退学、休学、ニートの増加に歯止めがかからないだろう。

中学生の片頭痛→不登校→ニート→自殺!2005年10月15日 08:52

中学生の片頭痛→不登校→ニート→自殺!

=中学生の片頭痛はニート対策との関係がある

 現在、自殺とニートは、国をあげてとりくんでいる社会問題である。ここに、坐禅や腹式呼吸によるカウンセリングが大きな貢献をする。アメリカでの、新しい認知行動療法に、とりいれられている、アクセプタンス、コミットメント、マインドフルネスが、禅であり、仏教なのである。ありのままの感覚、症状を静観できず、おかしな害ある行為でまぎらすか、回避の行為をするので、心の病気になる。アクセプタンスしない、マインドフルネスをしないからである。

 日本の中学生に片頭痛が多いことがわかった。その根本的な対策をとらないから、不登校となり、ニートとなり、自殺にいたる構図も見える。

 「中学生の20人に1人程度が、頭がずきずきと痛む「片頭痛」を患っていることをうかがわせる初めての大規模な調査結果を、名古屋市立大小児科グループがまとめた。大人よりやや少なめだが、周囲の理解不足から「仮病」と誤解されることもある。的確な診断と治療が行われなければ学業にも支障が出ると、専門家は指摘している。11日、京都市で開かれた国際頭痛学会で発表した。」

 「頭痛発作が1~72時間続く、ずきずきと痛む、吐き気や光過敏があるなど、片頭痛の国際診断基準に当てはまったのは、男子110人(3.3%)、女子203人(6.5%)で、全体の4.8%だった。」 (朝日新聞、10/12/2005)

 報道では「子どもの頭痛は大人より軽いことが多く、痛みが始まって鎮痛剤をすぐ飲めば抑えられる。家族に片頭痛を持つ人がいる場合が7割を占めるので、心当たりがある場合は受診を」という医師の言葉をのせている。  報道にあるとおり、頭痛には、鎮痛薬が効くのであるが、気になることがある。薬物療法に並行して、ストレス対策をとるべきである。

 片頭痛は、セロトニン神経の弱体化によって起きるとも言われていて、抗うつ薬が効くとされる。だが、これは、うつ病の治療と同様の問題が懸念される。対症療法的であり、根本治療ではないのではないか。報道で次のように伝えている。

 「頭痛の継続時間は、過半数が1~4時間未満。吐き気やめまい、耳鳴りなどを伴うことが多く、起こりやすいのは「睡眠不足のとき」や「ストレスがたまったとき」との答えが目立った。」

 睡眠障害とうつ病との関係は深く、睡眠障害の人は、やがてうつ病になる割合が高いという研究結果もある。つまり、片頭痛もちの子は、ストレスをかかえている。これを根本的に軽減しないと重症化するおそれがあるだろう。

 「子どもの頭痛があまり知られていないため、『仮病』だと思われることもある。それがストレスになり、学校生活に支障が出る可能性もある」と指摘されているが、このことも、子どもの不登校を招き、さらに、ながびいて「ニート」にしてしまうおそれがある。

 不登校とニートには、病気によるものの場合、似ているのであって、「(H)その他」になるが、これには、「心身症」によるものが、かなり多いと思われる。片頭痛は、ストレスによるものが多く、心身症である。腹痛や下痢もある。子どもに片頭痛が多いことがわかったわけであるが、鎮痛薬で治療していると、根本のストレス対処法が身につかず、薬づけになって、効かなくなったり、うつ病に発展したりするおそれがある。
 子どもが片頭痛とわかったら、鎮痛薬治療もやむをえないが、並行して、ストレス対策のカウンセリングを試みるべきである。ニート対策は、このような、早い時期からとりくまないと根本的な解決にならないと考える。ニートになってから、対策をとるのではなくて、片頭痛を訴える頃から、その根本的な治癒対策をとることが、ニートを減少させる。
 ちなみに、薬物療法によらず、腹式呼吸法で、片頭痛を治している医者もいる。また、腹式呼吸法をとりいれたカウンセリングで、うつ病が治ることがあるが、うつ病の患者にある頭痛、胸痛なども治る。ストレスにより、セロトニン神経が弱って、痛み、うつ病を起こしていると考えられる。
 たかが、片頭痛と思わず、中学生から、しっかり治してやらないと不登校、ニートにしてしまう。やがて、うつ病、自殺につながる。子どもの片頭痛、はきけ、睡眠障害には、薬物療法だけでなく、ストレス対策のカウンセリングを重視してもらいたい。
 大きな社会問題となっている、うつ病、自殺、不登校、ニート、ひきこもり、みな、ストレスによる心の病気、身体の病気(心身症)がからんでいるものがかなり多いようである。この理解が充分ではないために、対策がまとはずれになっている側面もある。こうなると、本人たちだけの問題ではなくて、社会の問題である。

 ニート、自殺の対策には、小中学生段階から「心の病気」や「心身症」について、薬物療法ではなくて、ストレス対策の心の智慧という根本的対策が必要であるという私どもの提言に賛同して、同じような運動にぜひ、参加していただきたい。