「三つ子の魂 「今」まで」2005年06月13日 15:03

 ZENセルフカウンセリング協会のシンポジウムが、6月12日、京都で開催されたので、行ってきた。
そのホームぺージに掲載されている。
http://www.geocities.jp/zenselfcounselling/
シンポジウムのテーマは、「三つ子の魂 百まで」であった。
だが、私は「三つ子の魂 「今」まで」と置き換えたい。

 印象に残ったことをご紹介する。
  • 1.子供の誕生から子育ての時期における環境によって、子供が将来、青少年になった時に、心の病気になったり、感情を抑制できず、非行・犯罪に走ることがある。
  • 2.「こころの脳」は、海馬(知能)、扁桃(情動)、側座核(意志)の3つの重要な細胞群から構成される。
  • 3.うつ病や統合失調症になると、扁桃に傷ができる。
  • 4.心の脳は、3歳までに重要な発達をする。外部からのさまざまな刺激に反応して、新しいネットワークを形成していく。この時期には、愛情豊かに育てることでバランスのとれた心の脳が形成される。 この時期に、十分甘えることができずに(両親が不和、虐待、否定、完全欲の母の育児、など)育った人は、「愛されない」「すべてを受け入れてもらえない」という不充足のため、自己存在の不安を持つ。 少年期、青年期に心の病、非行犯罪に走り、あるいは、その時期を乗り越えても、自分が子供を持った時に、自分がされたと同じような子供への愛情を欠く子育てをする。こうして、遺伝のように見える状況が続く。(もちろん、すべての人ではない)
  • 5.この悪循環を断ち切ることができる治癒法があるという。一つは、親が自分の自動思考(マインドトーク)そこから起きる感情、それから起きる行為(虐待、きびしすぎるしつけ、暴力、など)が起きることをよく自覚して、それをコントロールすることだ、という。 子を持った親が、子に愛情を感じない、子育てに不安、虐待するという状況がある場合、自分の心をよく洞察して、自分の感情に振り回されて、子どもにつらくあたるのをやめる。このことは、3歳までも重要であるが、3歳以後も、過保護、過干渉、あまやかし、ではなくて、しつけるべきことはしつけ、根底には、愛情ある気持ちをもって育てることで、子どもが、感情豊かで、思いやりのある人に成長するという。
  • 6.小中学校の頃、いじめられると、青年期になった時、統合失調症を発症しやすい。さらに、うつ病を併発しやすい。これによって、その人の人生を大きく損なうので、小中学校生の「いじめ」は重大な犯罪といってよいくらいである。「いじめ」をなくさなければいけない。
 シンポジウムの内容は、もりだくさんであったので、ほかにもあったが、私の関心から、「選択的抽出」をした。(「選択的抽出」は、認知療法や仏教が教える認知のゆがみである。これがあって、その害を知らずにおしつけると、自分や他者を苦しめる。)
(「シンポジウムでは何を訴えていたか書いてみなさい」という課題を与えると、百人がすべて、異なることを言うであろう。人によって、種々の認知のゆがみが用いられる。)

 感情に振り回されて、心の病気になったり、他者のいじめ、非行・犯罪を犯すような人を育てないために、子育て時期の大人は、自分の自動思考、感情を洞察して、コントロールすることが重要である。このことによって、社会から、心の病気、いじめ、非行・犯罪が減少する。

 そのような心の洞察法として、ZENセルフカウンセリング協会の「マインドフルネス瞑想法」、臨床仏教カウンセリング協会の「仏教療法」があり、また、一般の「認知行動療法」「対人関係療法」も、それを教えてくれる。
 愛情不足、虐待の親を「薬物療法」では治せない。しかし、それを治さないと、その親に育てられた子は、心の病気、いじめ、非行・犯罪に陥りやすい。現代日本の、種々の社会問題は、こういうことが軽視されてきたことによる。政府によって、ようやく、分析が始まった。種々の組織の利益、おもわくが交錯する。ノウハウ、人材も十分あるわけではない。その対策が実を結んで、全国に実施されるまでには、10年かかるであろう。
 不幸な目にあった3つ子の魂は、放置すると、百まで影響するが、適切な手当てをすれば、その時点から変えることができる。
 「3つ子の魂は、「今」まで !」といいたい。