ニート対策は中学から2005年09月25日 04:51

ニート対策は中学から


高校の不登校

 全国の国公私立高校の不登校生徒数が04年度6万7500人に上ることが、9月22日、文部科学省の調査で分かった。在籍者に占める比率は1・82%である。また、不登校の生徒の36.6%に当たる2万4725人が退学している。小中学校も含めた不登校者の総数は19万817人。  また、不登校の高校生のうち少なくとも20%にあたる1万4000人余りは、中学校を30日間以上休んだ経験もあることもわかった。  不登校になっている理由は、
  • (A)何となく登校しないなどの「無気力」が25%
  • (B)不安を感じるなどの「情緒的混乱」が22%
  • (C)遊ぶためや非行グループに入ったりして不登校が続くケースが12%
である。

地域に学校と契約関係にない相談員が必要

   以上の調査結果から、中学校段階からの不登校の人のうちかなり多くの人が高校生になって不登校になり、結局、中退して、ニートにつながる経路がかなりありそうだ。そして、不登校の理由のうち、(B)は、不安障害やうつ病のようであり、(A)のうちにも、うつの人が一部含まれるかもしれない。うつ病や不安障害は、適切なカウンセリングをすれば、完治する。だが、児童生徒の場合、その症状をうまく表現できないために、心の病気であることがみのがされるのではないか。中学生が不登校になった時、心の病気という視点から、カウンセリングできる人が地域にいたほうがいい。
 こういう不登校の児童生徒がいても、地域には、気軽に相談でき、場合によっては、うつ病や不安障害をカウンセリングしてくれる人がいないことがこういう不登校、中退が多い背景になっているようだ。中学校には、県によって、学校カウンセラーや、学校が任命した「さわやか相談員」の制度があるが、問題によっては、うまく機能しないこともある。学校側とみられて、児童生徒が相談しにくい心理が働くのかもしれない。また、うつ、不安障害をカウンセリングできない人もいるだろう。地域には、こういう段階のカウンセリングをするカウンセラーをみつけるのがむつかしいだろう。
 昔は、近所の年配の人や僧侶が、相談に応じていたこともあっただろうが、地域社会が崩壊して、地域の人が、こういう児童生徒の心の問題の相談にあたることがなくなった。それを補う相談員を作りたい。不登校になるのは、学校側に責任がある場合もあるだろう。いじめのほか、児童生徒が不登校になるきっかけが、先生の言動からであったというものも多いという調査結果がある。これによって、心の病気におちいる。とすれば、学校が指定するカウンセラーや相談員では、児童生徒が相談しにくい場合がある。
 そこで、学校とは関係のない「子どもの心の相談員」(仮称)の提案をしたい。このような「看板」をかかげて、地域の児童生徒(小中高生)の不登校の相談を受ける。子どもであるから、近くにあるべきで、学区に、1人はおきたいものだ。できれば、学校に知らせておく。悩みを持つ生徒、不登校になった生徒の心のケア、カウンセリングを無料で行うことにする。カウンセリングの手法は、腹式呼吸法を付加した認知行動療法がある。基本的に「自殺防止・うつ病治療の心理相談員」の講座であるが、児童生徒用に簡略化する。賛同者があれば、ご連絡をお願いしたい。何人か、賛同者があれば、集まって、運営方法をとりきめたい。

若者の自立 はじめの一歩を支えよう2005年08月11日 19:05

 朝日新聞の社説が、8月5日(05年)ニートについてとりあげた。ニートにしたのは、親の(過去の)甘やかしと、本人の(過去の)甘え、という一面もあるのだが、そういって突き放すだけではすまない、という。
    (注)対人恐怖、人間関係を結べないというような不安障害やそれに近いものまで「甘え」というのは酷だと思うかもしれないが、専門家をさがしてゆく努力をしてカウンセリングを受ければ、改善することもある。そのような「治す」努力をしないとか、暴力をふるうというのも、「甘え」とみる見方もある。したいことがみつからない、自分さがし、などの理由で積極的な打開策をとらなかったのも(過去の)「甘え」とみる。今、もう現状(ニート、ひきこもり)維持に甘えていないで、公的機関や専門家の支援を求めて自分を変えること(つらいだろうが)が「甘え」からの脱出になるという。
 家庭では解決できないニートが多すぎて、社会問題となった。今は、社会が支援する対策をすすめる必要がある。社説はこういう。
     「問題は、若者自身の将来にとどまらない。これからの社会の支え手と期待される人たちが一本立ちしないことが及ぼす影響は深刻だ。「親が甘やかすからだ」と突き放し、「意欲がない」と本人を責めれば済む話ではない。 」
 ニートの問題について一致する意見は、ながびいてしまったニートは家庭だけでは、解決できない場合が多いということだ。NPOや公的機関が支援をしようとしているので、そういう外部の支援を得ることに、今、積極的になることが必要である。過去の「甘やかし」は責めない。外部の支援を求めようとせず、無為に過ごすことは、「今」「甘やかし」となる。ただ、これまでの支援対策では不十分なのである。困った家族が支援する機関などの情報を得ることが困難であるとか、支援を求めてたずねても、うまく成功しないことがある。ニートは多様な形態があって、必ずしも、適切な支援を得られない場合も多いようだ。しかし、家族も本人もあきらめてはいけない。解決しないから。
 今後、ニートの形態に応じて、種々の対策を提供していく必要がある。  社説は、「若者自立・挑戦プラン」のついて紹介している。
     「政府は03年に「若者自立・挑戦プラン」を打ち出した。これに沿って、情報を提供し、相談にも乗れる施設や合宿形式の「若者自立塾」などを通じて若者と仕事をつなぐ試みを始めている。
     6月には内閣府が、自立支援についての検討会の報告書を発表した。ニートを「自立に困難を抱えた状況」ととらえたうえ、個々人を対象にした施策を、国をあげて取り組むよう提言している。
     解決の決め手が簡単に見つかるわけではないが、自立を促す手だてを社会全体で考えることは必要だろう。」
 確かに、ニートになりたてのころ、長引かないうちに、専門家の支援をあおごうとせず、家族の中だけにとどめてしまったつけが今、来ているが、ニート、ひきこもり、の解決は家族だけで解決するのは困難であるから、社会が支援する必要がある。社説は、いくつかの支援策を紹介している。
     「東京都足立区千住にある「あだちヤングジョブセンター」は、そんな試みの一つだ。区が施設を提供し、自立支援のNPOが運営を担っている。
     神奈川県から来ていた21歳の若者に会った。高校に入ったものの、おもしろくなくて中退した。大学検定をとったが、通学し続ける自信がないので受験していない。人付き合いが得意でないのだという。誠実そうな青年だ。親はさぞ、やきもきしていることだろう。」
 こういうケ-スも、「自信がない」というメンタルな問題をかかえているので、ただ就労支援では解決しない。メンタルなケアが必要となる。
 父親と子どもが仕事について語ることも提案している。
     「青少年に関する最近の調査は興味深い。たとえば、男子では父親との会話の機会が多く、その仕事の内容もよく知っているほど自立志向が強いという。しかし、同じ調査で親の仕事をよく知っていると答えたのは4人に1人だけだ。家庭で仕事について語る機会を増やしてはどうだろう。」
 だいたい、父親は、全く子どものことは母親まかせということが多いことや、仕事を話してもストレスの強いことや会社が面白くないことばかりを嘆いていることが多い。これでは、子どもの就労意欲はわかない。話しかたを注意しなければならない。
 社説の結びは、こうである。
     「もちろん、若者の自立は家庭にだけ押しつければ済むような話ではない。学校、地域、自治体、そして企業も国も、ひとごとと思わずに取り組みたい。 」
 公的期間やNPOなどは、ニートの人や家族に支援のサービスを作ること、本人や家族は、そういうサービスを自ら積極的にさがし、参加すること、その双方の努力によって解決していくことが大切であろう。

ニートは親の甘やかしから?2005年08月08日 09:42

Yomiuri Weeklyが、「ニート家庭「凄絶」白書」をのせている。(8月14日号、2005年)
 子どもをニートにしてしまうのは、親の甘やかしだという。次のような趣旨である。
  • 損失
    まず、家庭の損失。家族の中にニートが一人でもいると、大きな損失をこうむるという。その経済的損失を、「子どものかけるお金を考える会」の人が試算して、グラフにしている。それを読み取ると:
    • 子どもが全部独立した家庭では残った両親は経済的恵まれた人生を送る。しかし、ニートとなった子どもを一人持つと、その子が収入なく、親に依存するので、経済的な負担となり、親が老齢になる頃、貯金が底をついて、悲惨な事態を招く。
    • モデルの家庭で試算すると、ニートが一人いると、その子への出費が続いて貯金が伸びず、ニートのいない家庭と比べて、父が65歳の時に、貯金の額が約1千万円少ない。
    • ニートの家庭では、父が69歳の頃、貯金がゼロとなり、借金生活に入る。その時、ニートの子は39歳。ニートのいない家庭では、父69歳の時、貯金が1千5百万円ある。
    • 父が78歳で死亡する。その時、ニートのいる家庭では、借金が、1千万円である。ニートの子は、48歳、ずっと無職である。残された母、75歳と、ニートの子48歳はどうやって生活していくのか。土地家屋を売る? その後は? 母が死んだらどうなる?
      ニートのいない家庭では、父78歳で死亡の時、貯金が1千5百万円くらいある。残された母はこれで生活できる。他の子は自立している。

    ニートの子がいると、経済的な損失のほかに、家族旅行に行けない、いつもニートの将来を心配してストレスがあり、場合によって、家庭内暴力が起こったり、他の家族が心の病気になったり、心理的な負担が大きい。
    ニートの子がいる家庭は「凄絶」だという。
  • 原因
    子どもをニートにするのは、親の「甘やかし」が原因だという。
    子どもに食事を運ぶ親が悪い。その甘やかしが、子どもをニートから脱しないようにしてしまう。
    「金を出すのは愛情ではない」甘やかす親がかえって子どもの自立を妨げ、悲惨な将来を招く。
  • ニートを作らないためには
    子どもをニートにしない心得は「入り口で突き放せ」
    学校を卒業して、就職して、すぐやめてしまう。「やりたいことと違っていた」。その時が大切。甘やかすと一生ニートにする。
    親の資金で開業して、うまくいかず失敗。その時も、甘やかさないのが大事。不憫だからと、又、次の援助というのが、ニートにしてしまう。
    「わが子を段階的に追い出せ!」

一部の要点を紹介した。詳細は、実物をご覧下さい。
 ニート、あるいは、ひきこもり、には、心の病気(うつ病、パニック障害、対人恐怖、パーソナリティ障害など)の場合と、そうではない場合がある(夢追い人、したいことがないといって就職しない人、など)。両方の場合とも、早い時点で、適切な対策をとるのがよい。心の病気の場合には、病理のカウンセリングを受けること。心の病気でない場合、親は厳しい態度を見せて、甘やかさないことと、夢や怠慢を厳しく修正するよう指導するカウンセリングを受けることであろう。
 口実をつけて「カウンセリングを受けない」と子どもがいうのを受け入れてしまうのも、甘やかしであろう。それが社会復帰を遅らせてしまう。治療やカウンセリングを受けさせるべきである。
 中には、治療やカウンセリングを受けても、ニートから脱出できない場合があるだろう。治療技術、カウンセリング技法の遅れ、医者、カウンセラーが近くにいないなど。それでも、家族と本人が努力しないと、悲惨な将来になる場合があるだろう。一部は、自然治癒があるだろうが、保証はない。
 数回、数カ所、ためしたが、だめだったとあきらめてはいけないだろう。それでニートは解決しないのだから。同じ悩みを持つ家族の会に参加して、解決策をグループでさぐっていくべきだろう。社会の仕組み、社会の支援がないのも問題なのだから。相談にいっても、うまくいかないのは、本人、家族の問題のほか、相談機関の力不足という社会の問題でもある。種々の方面からの支援が必要である。