若者の自立 はじめの一歩を支えよう2005年08月11日 19:05

 朝日新聞の社説が、8月5日(05年)ニートについてとりあげた。ニートにしたのは、親の(過去の)甘やかしと、本人の(過去の)甘え、という一面もあるのだが、そういって突き放すだけではすまない、という。
    (注)対人恐怖、人間関係を結べないというような不安障害やそれに近いものまで「甘え」というのは酷だと思うかもしれないが、専門家をさがしてゆく努力をしてカウンセリングを受ければ、改善することもある。そのような「治す」努力をしないとか、暴力をふるうというのも、「甘え」とみる見方もある。したいことがみつからない、自分さがし、などの理由で積極的な打開策をとらなかったのも(過去の)「甘え」とみる。今、もう現状(ニート、ひきこもり)維持に甘えていないで、公的機関や専門家の支援を求めて自分を変えること(つらいだろうが)が「甘え」からの脱出になるという。
 家庭では解決できないニートが多すぎて、社会問題となった。今は、社会が支援する対策をすすめる必要がある。社説はこういう。
     「問題は、若者自身の将来にとどまらない。これからの社会の支え手と期待される人たちが一本立ちしないことが及ぼす影響は深刻だ。「親が甘やかすからだ」と突き放し、「意欲がない」と本人を責めれば済む話ではない。 」
 ニートの問題について一致する意見は、ながびいてしまったニートは家庭だけでは、解決できない場合が多いということだ。NPOや公的機関が支援をしようとしているので、そういう外部の支援を得ることに、今、積極的になることが必要である。過去の「甘やかし」は責めない。外部の支援を求めようとせず、無為に過ごすことは、「今」「甘やかし」となる。ただ、これまでの支援対策では不十分なのである。困った家族が支援する機関などの情報を得ることが困難であるとか、支援を求めてたずねても、うまく成功しないことがある。ニートは多様な形態があって、必ずしも、適切な支援を得られない場合も多いようだ。しかし、家族も本人もあきらめてはいけない。解決しないから。
 今後、ニートの形態に応じて、種々の対策を提供していく必要がある。  社説は、「若者自立・挑戦プラン」のついて紹介している。
     「政府は03年に「若者自立・挑戦プラン」を打ち出した。これに沿って、情報を提供し、相談にも乗れる施設や合宿形式の「若者自立塾」などを通じて若者と仕事をつなぐ試みを始めている。
     6月には内閣府が、自立支援についての検討会の報告書を発表した。ニートを「自立に困難を抱えた状況」ととらえたうえ、個々人を対象にした施策を、国をあげて取り組むよう提言している。
     解決の決め手が簡単に見つかるわけではないが、自立を促す手だてを社会全体で考えることは必要だろう。」
 確かに、ニートになりたてのころ、長引かないうちに、専門家の支援をあおごうとせず、家族の中だけにとどめてしまったつけが今、来ているが、ニート、ひきこもり、の解決は家族だけで解決するのは困難であるから、社会が支援する必要がある。社説は、いくつかの支援策を紹介している。
     「東京都足立区千住にある「あだちヤングジョブセンター」は、そんな試みの一つだ。区が施設を提供し、自立支援のNPOが運営を担っている。
     神奈川県から来ていた21歳の若者に会った。高校に入ったものの、おもしろくなくて中退した。大学検定をとったが、通学し続ける自信がないので受験していない。人付き合いが得意でないのだという。誠実そうな青年だ。親はさぞ、やきもきしていることだろう。」
 こういうケ-スも、「自信がない」というメンタルな問題をかかえているので、ただ就労支援では解決しない。メンタルなケアが必要となる。
 父親と子どもが仕事について語ることも提案している。
     「青少年に関する最近の調査は興味深い。たとえば、男子では父親との会話の機会が多く、その仕事の内容もよく知っているほど自立志向が強いという。しかし、同じ調査で親の仕事をよく知っていると答えたのは4人に1人だけだ。家庭で仕事について語る機会を増やしてはどうだろう。」
 だいたい、父親は、全く子どものことは母親まかせということが多いことや、仕事を話してもストレスの強いことや会社が面白くないことばかりを嘆いていることが多い。これでは、子どもの就労意欲はわかない。話しかたを注意しなければならない。
 社説の結びは、こうである。
     「もちろん、若者の自立は家庭にだけ押しつければ済むような話ではない。学校、地域、自治体、そして企業も国も、ひとごとと思わずに取り組みたい。 」
 公的期間やNPOなどは、ニートの人や家族に支援のサービスを作ること、本人や家族は、そういうサービスを自ら積極的にさがし、参加すること、その双方の努力によって解決していくことが大切であろう。

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