過労から精神障害・自殺の労災認定が過去最高2005年06月22日 06:40

 過労や仕事上のストレスで、うつ病などの精神障害を発病して労災補償の認定を受けた人が04年度は130人に上り、統計をとり始めた83年以降最多になったことが17日、厚生労働省のまとめで分かった。自殺(未遂を含む)に至った「過労自殺」も45人で最多となった。

 精神障害による労災補償の認定者は前年度比22人増。男性84人(前年度77人)、女性46人(同31人)で女性の増加が目立つ。病名では、心的外傷後ストレス障害(PTSD)などストレス関連障害が71人、うつ病関連が59人だった。職種ではシステムエンジニアなど「専門技術職」が43人で最多。製造工など「技能職」が24人で続いた。

 一方、長時間・過重労働で、脳・心臓疾患を発病して労災補償の認定を受けた人は04年度は294人で、このうち150人が「過労死」に至っていた。
 脳・心臓疾患での労災請求は816人で、前年度より74人増え、過去最多の02年度(819人)に並んだ。

 過労からうつ病またはPTSDになり、一部は自殺する。精神障害にならない人は、脳・心臓疾患になる。いずれも、過剰なストレスからである。
 過労は、疲労であるが、疲労するとセロトニン神経が弱体化するので、そのために「うつ病」、PTSDになりやすい。過労状態では身体疲労に加えて、余暇時間がなく、心理的な苦悩もかかえるので、心理的なストレスからも、セロトニン神経が弱体化する。
 過労からの精神障害、自殺を予防するには、休養をとり、気分転換をはかり、忙しいことを苦に考える心理的なストレスを処理する必要がある。さらに、セロトニン神経を鍛えることに効果のある運動、腹式呼吸法を行い、朝起きて日光を浴びる、セロトニンの材料となるトリプトファンを含んだ食物をとることなどが奨励される。
 私もサラリーマンだったころ、相当の残業をこうして乗り越えた経験がある。当時、「腹式呼吸法を含む認知行動療法によるストレス緩和対処法を知らなかったら、私はうつ病になっていただろうな」と思いつつ深夜の仕事をしていたことを覚えている。また、以前うつ病を発症した人が、今度は、このような心得で、過重な労働をこなしていて、うつ病を再発しないでいる人を何人か知っている。
 過労状況は、経営者が理解して、緩和する施策をとってもらいたい。優秀な社員を過労でうつ病、休職、自殺に追い込むと、会社も損をする。それでも、多くの残業が必要ならば、個人で、上記のような生活習慣に気をつけて、最悪の状況になることを予防してほしい。