書籍「自殺は予防できる」2005年09月30日 09:01

「自殺は予防できる」本橋豊・渡邉直樹編著、すぴか書房、2005/10。
 「自殺は予防できる」という本が出版された。自殺率が最悪の東北3県、秋田、青森、岩手の自殺予防対策が紹介されている。特に秋田県では、6つの町で、モデル事業にとりくんできたことから、自殺率が減少している。他の県でも、秋田モデルを注目している。それが、まとめられたので、今後、他の県が、自殺防止対策をとるのに、大変参考になる本である。
 ただし、この本でも、書いてあるが、そのモデル事業を推進していて、薬物療法で治療中の患者が自殺した例があるという。秋田モデルでは、治療は医者にまわすことになっていて、うつ病の治療が得意ではない医者に研修を行っているという。だが、得意でない医者が片手間で、薬物療法を行うと、遷延化させることが起きるおそれがある。うつ病の患者は自殺念慮を持つ人が多い。最初の3カ月が決めてであると思われる。長引くと、不安を持つ、不安を持つと、治らない。また、ストレスが持続する場合も、薬物療法の効き目が出にくい。副作用のために、学業や仕事に支障が起こり、かえって悪化することもある。薬物療法は、再発が多い、薬物療法を行っていても自殺する、人によって自殺念慮を高める副作用があるなど、その限界が報告されだした。
 秋田モデルは、うつ病への予防対策は、十分であるようだが、かかってしまった「うつ病」の治療対策の体制は、別な方面の対策が必要だろう。さもないと、自殺が、7割程度まで減少させられて、それ以上は減少させることができないことが起きるだろう。東北3県は、臨床心理士などのカウンセラーが少ないので、医者の薬物療法に頼る治療体勢になっているが、他の県では、カウンセラーによる心理療法を治療対策におりこむのがいいだろう。東北3県でも、うつ病の予防対策を推進してきたのは、保健師、看護師のようである。医者ではない。自殺防止のための「うつ病」の治療対策としては、すぐ、薬物投与をするのではなく、心理的なサポート、心理的な療法の推進が重要であろう。

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