カルト=奇妙な教義を持つ団体による被害 ― 2005年07月24日 18:40
人権を抑圧して被害者を苦しめる悪質な宗教団体をカルトというが、繰り返し、カルトのような団体による被害が報道されている。
次の2件は、やや古い事件であるが、裁判がすすんでいる。
上記の団体は、カルトの定義のいくつかに合致しているようだが、今後、裁判によって「カルト」であるかどうかが判明していくであろう。
カルトの中には、特殊な教義、被害者意識や終末思想により、集団自殺や暴力、テロを起こすものがある。次から次に、荒唐無稽な教義を持つ人間(教祖、代表)を絶対視する団体による被害が起きる。それだけ、多くの人が苦悩していて、家族や職場の同僚、地域社会、誠実な団体の支援を受けられないで、不誠実な団体に頼る社会になっているということである。
まず、家族内の不和・緊張を解消して、家族の一員が悩み、問題をかかえた場合、家族同志がささえあうような家庭にする必要がある。そうすれば、悩みを持っても、家族が支援してカルトなどには向かわない。また、種々の問題で悩む人を支援する仕組みづくりと、「カルト」についての啓蒙が重要な対策となる。種々の問題で苦悩する人々の支援が十分ではない。関連する組織が支援にのりだしてほしい。他人ごとと思わないほうがいい。家族内の緊張、外部での苦悩、ストレスがあるはずである。ひきこもり、うつ病、自殺、非行・犯罪が多いのでもわかるように解決は簡単ではない。だから、NPO活動にも理解を示してほしい。さもないと、苦悩する人が、カルトに参加していって大きな団体となり、いつか、みなさんの家族がカルトの被害者となるおそれが大きくなる。
次の2件は、やや古い事件であるが、裁判がすすんでいる。
- 京都府の「聖神中央教会」元主管牧師、の婦女暴行事件で、婦女暴行、準婦女暴行などの罪に問われた事件の初公判が7月21日、京都地裁であった。被告が「信者らに絶対的服従を要求し、超能力を持っているように信じられていた」など、極めて異常とも言える信者支配の実態を指摘した。
- 7月15日、東京地裁は「法の華三法行」元代表に懲役12年判決を言い渡した。悩み事を抱えて相談に訪れた人に「修行すれば治る」などとうそをつき、巨額の金を詐取したとして、詐欺罪に問われた。被告が母親から「生活の糧にするため、特別な声が聞こえることにして宗教を始めてほしい」と頼まれ、自分だけに聞こえる「天声」を考案。他宗教の教義をまねて活動を始めたと認定した。「被告が『天声』を聞くことができ、足裏を見て病気などを治す力を持っているというのは明らかに虚偽」と断定した。判決によると、被告らは31人に面接をし、「がんが頭まで来ている」などとうそをついて、計1億4921万円をだまし取るなどした。
- 7月18日、岐阜県の自然食品の農場で中学1年の少女が死亡した。少女に目立った外傷はなく、病死のようであるが、糖尿病にかかっていて、受けるべき医療(インスリン注射)を受けなかったことが問題とされている。病気に治癒効果があるかどうかわからない食品を作り、荒唐無稽な特殊な菌が含まれているといって、それを食べると効果があるようなことを言って、難病で悩む人たちに売っていた。その効能が虚偽である疑いや販売するにあたり、一定期間通学しなくても金を支払えば取得できる外国の大学の「薬学博士」という肩書きで権威づけして信じこませる方法の是非が調べられている。これは、「神道」系の宗教組織と称し、神社を設立して、食品は株式会社で販売している。信じて受けるべき医療を受けないと、病気が悪化したり、死亡するという被害が起きるおそれがあるわけである。少女は、その食品が病気に効果かあると信じ込んで、インスリン注射をしなかった可能性があることで、違法性がないか調べられている。
- 7月、週間紙やテレビで、奇妙な「株式会社」が報道された。代表には、特別の能力があり、そのエネルギーをこめた商品を高額で販売しているという。借金をしてでも買えと迫り、次々と商品を買い多額の借金をかかえた子どもの家族が、マインドコントロールによる被害を訴えている。暴力による革命を起こすとも言っている。
上記の団体は、カルトの定義のいくつかに合致しているようだが、今後、裁判によって「カルト」であるかどうかが判明していくであろう。
カルトの中には、特殊な教義、被害者意識や終末思想により、集団自殺や暴力、テロを起こすものがある。次から次に、荒唐無稽な教義を持つ人間(教祖、代表)を絶対視する団体による被害が起きる。それだけ、多くの人が苦悩していて、家族や職場の同僚、地域社会、誠実な団体の支援を受けられないで、不誠実な団体に頼る社会になっているということである。
まず、家族内の不和・緊張を解消して、家族の一員が悩み、問題をかかえた場合、家族同志がささえあうような家庭にする必要がある。そうすれば、悩みを持っても、家族が支援してカルトなどには向かわない。また、種々の問題で悩む人を支援する仕組みづくりと、「カルト」についての啓蒙が重要な対策となる。種々の問題で苦悩する人々の支援が十分ではない。関連する組織が支援にのりだしてほしい。他人ごとと思わないほうがいい。家族内の緊張、外部での苦悩、ストレスがあるはずである。ひきこもり、うつ病、自殺、非行・犯罪が多いのでもわかるように解決は簡単ではない。だから、NPO活動にも理解を示してほしい。さもないと、苦悩する人が、カルトに参加していって大きな団体となり、いつか、みなさんの家族がカルトの被害者となるおそれが大きくなる。
人権を抑圧する「カルト」の定義 ― 2005年06月26日 07:18
人権を抑圧する「カルト」の定義
自分の欲望・利益を満足するために宗教を利用するあさましい宗教者がいる。幹部がそうであると、ナンバー2、3が、また、自分の欲望(金、地位、名誉、性など)をも満足させてくれるので、トップにとりいり、支援して、上位の幹部グループが「カルト」集団になる。「カルト」とは何か(1)
「カルト」は、定義が種々あって、統一的な見解はない。カルトとは何かを研究者の幾つかの定義、特徴についての説明をとおしてみていこう。竹下節子氏は、次のように説明している。
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「この本の中でカルトというのは、ある特殊な人間や考え方を排他的に信奉する動きを指しているので、フランス語のセクトにあたるだろう。その特徴は、排他、独善、覇権主義、内輪主義、非公開などだ。グループ内には一定の典礼、修行、約束事があり、カリスマ的なリーダーがいて全体主義的な傾向もある。」(1)
「現代のカルトの実態は、外部の社会は悪に染まったもの、悪魔の仕業などと決めつけて外界と縁を切らせ、極端な教条主義、ラディカルでピュアなイデオロギー、内部における異論を認めぬ全体主義などで孤立したさまざまなグループだ。そのせいで、グループの内部では、しばしば社会から弾圧、迫害を受けているという犠牲者の感情が育ちやすい。実は、宗教的な看板の裏で、グループの目的の第一義は上層部における「権力」の追求であったりする。その権力は、信者を宗教的な「教え」に帰依させて得るものではなく、事実上、信者を心理操作することでのみ得られる。」(2)
カルトの表看板
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「カルトはいろいろな表看板を掲げて、金集め人集め、権力の掌握などの本音をカモフラージュする。(中略)
カルトの表の姿には、孤独を癒す仲間意識を強調したものや、職業上の競争の困難を解決してくれる自己改革の約束をくれるもの、精神力の鍛錬(実はグループの利益にのみ使われる道具となる)を目指すものなどが多い。
その他に、グループによっては、難病の治癒、麻薬中毒からの解放、さまざまな「大義」を掲げて特徴にする。「大義」とは、世界平和、環境保護、人権擁護、フェミニズム、第三世界支援などだ。(中略)
カルチャー、エステ、スポーツ、教育の分野もカルトの表看板になる。(中略)
しかし、カルトのカモフラージュにもっともよく使われているのは、やはり「宗教」だろう。詐欺師、ビジネス人間、あるいは盲想や人格障害をかかえたリーダーが、宗教者を装ったり自分で宗教者だとか神だとか思い込んだりしてしまう。もともとカルトと宗教は親和性があるのだ。」(3)
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「カルト指導者は自分みずからを崇拝の対象とする。(中略)カルト指導者は、ほかでもない自分を愛、献身、忠誠の対象と化せしめる。たとえば、指導者にたいする帰依の程度をためすために、夫婦を強制的に別居させたり、親に子供を手放すことを強いたりするのだ。」(4)
(注)
- (1)竹下節子「カルトか宗教か」文春新書、文芸春秋、16頁。
- (2)同上、23頁。
- (3)同上、34頁。
- (4)マーガレット・シンガー「カルト」飛鳥新社、29頁。
人権を抑圧する「カルト」 ― 2005年06月26日 06:15
人権を抑圧する「カルト」
自分の欲望・利益を満足するために宗教を利用するあさましい宗教者がいる。宗教は元来は、苦悩する人を救済する目的をもつものであろうが、宗教指導者が自分の欲望を抑制できないとか、他者の苦悩を思いやることができない人間が加わると、「カルト」になる。救いを求めるつもりの宗教によって、人権を抑圧され、財産を奪われ、苦しむ人や、抑圧されていながら、そのことにめざめず、奴隷のように宗教者に奉仕する人がいる。オウム真理教事件は、その規模、および、大量殺人という犯行の異常性によって、多くの人が知っているが、「カルト」と呼ばれる特殊の思想、宗教を提唱し、信者を抑圧して、人権を無視する団体が多い。その行動によって、信者本人ばかりでなく、その子供の成長・発達を阻害し、一般社会への適応を困難にするという問題を引き起こす。信者や組織員は、組織のトップから、その人を絶対視させて、特殊の思想を植え付けられていて、「不安」に関連して、一種の心の病気、社会への不適応の状態にあるので、被害者を救済するには、特別のカウンセリングが必要になる。
元来、仏教は、厳しい自己洞察を求める。自分勝手な思想で自己満足することを許さない。カルトが主張する思想、教えとは、仏教でいう「悪見」(「我見」「見取見」「戒禁取見」など)であり、認知療法でいう「固定観念」である。これを修正しない限り、被害者は「不安」から解放されず、根本解決には至らない。仏教カウンセリングも認知療法も、「悪見」や「固定観念」の修正をはかるので、カルトや宗教問題で苦悩する人を治癒させることを試みる。
とりあえず、次の点があるのは、カルトの様相が強いので、注意してほしい。被害・苦悩が大きくないうちに、脱会したほうがよい。
- 組織のトップや幹部(生きている人間)を絶対視させる。
- 外部の社会を汚れたところ、おそろしいところとする特殊な思想がある。
- 現在の職業、現在の家庭から離脱することをすすめる。
- 多額の献金をさせる。
- 財産のすべて、あるいは、相当な高額を拠出させて、その組織から脱退しにくい状況にしている。
- 隔離された施設に共同生活し、外部の情報を遮断する。
- 施設内での活動を参観させない。
そのほか、自らの悪を隠す傾向があるので、カルトは、次のように自分たちの正体を隠して勧誘する場合がある。早く気がついて、とおざかるべきである。
- 外部への宣伝では、上記のようなことはないというが、実際は行なっていること。
- 外部へは、セミナー、自己啓発、ヨーガ、カウンセリング、生涯学習、種々の社会問題(ひきこもり、不登校、過食、育児不安、など)にとりくむ援助を行う企業やNPOなどを装う。しかし、実質、上記の様相がある団体は、カルトである可能性が高い。
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