カルト=奇妙な教義を持つ団体による被害2005年07月24日 18:40

 人権を抑圧して被害者を苦しめる悪質な宗教団体をカルトというが、繰り返し、カルトのような団体による被害が報道されている。
 次の2件は、やや古い事件であるが、裁判がすすんでいる。
  • 京都府の「聖神中央教会」元主管牧師、の婦女暴行事件で、婦女暴行、準婦女暴行などの罪に問われた事件の初公判が7月21日、京都地裁であった。被告が「信者らに絶対的服従を要求し、超能力を持っているように信じられていた」など、極めて異常とも言える信者支配の実態を指摘した。
  • 7月15日、東京地裁は「法の華三法行」元代表に懲役12年判決を言い渡した。悩み事を抱えて相談に訪れた人に「修行すれば治る」などとうそをつき、巨額の金を詐取したとして、詐欺罪に問われた。被告が母親から「生活の糧にするため、特別な声が聞こえることにして宗教を始めてほしい」と頼まれ、自分だけに聞こえる「天声」を考案。他宗教の教義をまねて活動を始めたと認定した。「被告が『天声』を聞くことができ、足裏を見て病気などを治す力を持っているというのは明らかに虚偽」と断定した。判決によると、被告らは31人に面接をし、「がんが頭まで来ている」などとうそをついて、計1億4921万円をだまし取るなどした。
 ところが、最近になって、また、次のような被害が報道されている。
  • 7月18日、岐阜県の自然食品の農場で中学1年の少女が死亡した。少女に目立った外傷はなく、病死のようであるが、糖尿病にかかっていて、受けるべき医療(インスリン注射)を受けなかったことが問題とされている。病気に治癒効果があるかどうかわからない食品を作り、荒唐無稽な特殊な菌が含まれているといって、それを食べると効果があるようなことを言って、難病で悩む人たちに売っていた。その効能が虚偽である疑いや販売するにあたり、一定期間通学しなくても金を支払えば取得できる外国の大学の「薬学博士」という肩書きで権威づけして信じこませる方法の是非が調べられている。これは、「神道」系の宗教組織と称し、神社を設立して、食品は株式会社で販売している。信じて受けるべき医療を受けないと、病気が悪化したり、死亡するという被害が起きるおそれがあるわけである。少女は、その食品が病気に効果かあると信じ込んで、インスリン注射をしなかった可能性があることで、違法性がないか調べられている。
  • 7月、週間紙やテレビで、奇妙な「株式会社」が報道された。代表には、特別の能力があり、そのエネルギーをこめた商品を高額で販売しているという。借金をしてでも買えと迫り、次々と商品を買い多額の借金をかかえた子どもの家族が、マインドコントロールによる被害を訴えている。暴力による革命を起こすとも言っている。
 仏教系、キリスト教系、神道、あるいは、その教祖が始めた新興宗教として、宗教教団の名乗ることもあるが、ある場合は、株式会社、自己開発セミナー、ヨーガ教室、という形式をとるが、活動内容に宗教的な教義が含まれていて、不当な抑圧やマインド・コントロールによって、人権を侵害する行為をしたり、金銭的な被害など苦痛を与えるものは、「カルト」とされる。
 上記の団体は、カルトの定義のいくつかに合致しているようだが、今後、裁判によって「カルト」であるかどうかが判明していくであろう。
 カルトの中には、特殊な教義、被害者意識や終末思想により、集団自殺や暴力、テロを起こすものがある。次から次に、荒唐無稽な教義を持つ人間(教祖、代表)を絶対視する団体による被害が起きる。それだけ、多くの人が苦悩していて、家族や職場の同僚、地域社会、誠実な団体の支援を受けられないで、不誠実な団体に頼る社会になっているということである。
 まず、家族内の不和・緊張を解消して、家族の一員が悩み、問題をかかえた場合、家族同志がささえあうような家庭にする必要がある。そうすれば、悩みを持っても、家族が支援してカルトなどには向かわない。また、種々の問題で悩む人を支援する仕組みづくりと、「カルト」についての啓蒙が重要な対策となる。種々の問題で苦悩する人々の支援が十分ではない。関連する組織が支援にのりだしてほしい。他人ごとと思わないほうがいい。家族内の緊張、外部での苦悩、ストレスがあるはずである。ひきこもり、うつ病、自殺、非行・犯罪が多いのでもわかるように解決は簡単ではない。だから、NPO活動にも理解を示してほしい。さもないと、苦悩する人が、カルトに参加していって大きな団体となり、いつか、みなさんの家族がカルトの被害者となるおそれが大きくなる。

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