男女差別、LGBTQの差別2023年02月10日 08:28

日本は、男女差別、LGBTQの人の差別、で苦しめられるひとが多い。違いは個性、異なる個性を尊重し共生しみな幸福に生きる社会を。日本にあった人間哲学はすべての人間の絶対的な平等をいう。西田哲学、鈴木禅哲学が論理的に説明。引用の雑誌でも触れられた。マインドフルネス実践も研究も発展深化を。 https://blog.canpan.info/jitou/archive/5124

いじめで担任教諭らの過失を認定2005年09月30日 07:17

 子どもがいじめで自殺したとして訴えた裁判で、担任教諭らの過失を認定した。
 報道によれば、いじめに関する訴訟で、9月29日、宇都宮地裁の判決は、学校側に責任ありとして、240万円の賠償を命じた。栃木県鹿沼市で1999年11月、市立中3年のTU君(当時15歳)が自殺したのは、学校でのいじめが原因だったとして、TU君の両親が市と県、当時の同級生2人とその両親を相手取り、総額1億1032万円の損害賠償を求めた。
 学校がいじめを防ぐ適切な措置をとらなかったなどとして、TU君の肉体的・精神的苦痛に対する慰謝料などの支払いを被告に命じた。しかし、「いじめから自殺までに5か月以上の期間があった」ことなどから、いじめと自殺の因果関係については認めなかった。
 判決によると、同級生の男子生徒2人はTU君に「プロレスごっこ」の相手をさせたり、教室でズボンや下着を脱がせたりした。TU君は99年11月1日から不登校になり、同月26日に自宅で首つり自殺しているのが見つかった。

外傷後ストレス障害(PTSD)やうつ病は事件の相当後に自殺も

 判決文を詳細に読んでいないからわからないが「いじめから自殺までに5か月以上の期間があった」から、「いじめと自殺の因果関係については認めなかった」というのは、おかしい場合もある。
 いじめの後に、PTSDやうつ病という心の病気を発症すれば、自殺するのは、6カ月後、1年後に自殺するということが起きる。いじめによって、PTSDかうつ病を発症したのであれば、いじめと自殺は因果関係がある。裁判は、そこを十分に検討したのか。

PTSD

 大きな事件、事故に巻き込まれて、瀕死の目にあった人が、その出来事が終わってから、精神的に苦しみ、身体にも症状が出て苦しむことがある。交通事故にあうとか、幼い頃に遭遇した個人的な恐怖体験もそうであるが、大規模に発病しているのでは、地下鉄サリン事件、和歌山カレー殺人事件、阪神淡路大震災、ハワイ原子力潜水艦沈没事件、ベトナム戦争の被害者、帰還兵などに多くの症例がある。
 PTSDについて、次の説明がある。いじめも、本人にとって、これに該当するほどのものがあるだろう。
    「患者は、以下の2つが共に認められる外傷的な出来事に暴露されたことがある。
    • (A)実際にまたは危うく死ぬまたは重傷を負うような出来事を、1度または数度、または自分または他人の身体の保全に迫る危険を、患者が体験し、目撃し、または直面した。
    • (B)患者の反応は強い恐怖、無力感または戦慄に関するものである。」
     「またPTSDの症状の特徴は、

    (A)本人が暴露された外傷体験と類似した体験からの回避や外傷体験そのものの想起回避などの回避行動と
    (B)侵入的回想(フラッシュバック)、及び
    (C)再三の夢での外傷再体験、

    という現象にあるが、特に(B)(C)を特異的なものとしている。」
 次のような態度、行動の幾つかが起こり、重要な活動への無関心、不参加などから、社会生活に不自由をきたす。
  • その出来事と関連した思考、会話を避けようと努力する。
  • 出来事を想起させる活動、場所、人物を避けようと努力する。
  • その出来事の重要な側面を想起できない。
  • 重要な活動への無関心、不参加。
  • 孤立、疎遠の感覚。
  • 感情の範囲の縮小(愛の感情を持つことができない、など)
  • 入眠困難、睡眠維持困難。
  • 怒りやすい、易刺激性。
  • 集中困難。
  • 過度の警戒心。過剰な驚愕反応。
 いじめられてから、相手にあうたびに、その出来事を想起し、苦しみ、PTSDとなっていた可能性もある。また、このようなつらい状況が持続すると、「うつ病」を併発することがある。そうすると、当然、自殺の危険性がある。いじめは、PTSDを経過することなく、すぐ「うつ病」を発症することも多い。ライフ・イベントがあって、うつ病になることが知られているが、うつ病になってもすぐ自殺せず、半年後に自殺することもある。たとえば、過重労働で、うつ病になり、休職して、うつ病が治らず、6カ月後に自殺した場合、過重労働は、半年前にストップしたが、その過重労働と自殺の因果関係がある。過重労働がうつ病をひきおこし、そのうつ病が自殺させる。心の病気の原因と自殺の時期の間には、半年以上の場合もある。だから、TU君の場合も、いじめの時期と自殺の時期が5か月あっても、それだけで因果関係がないとはいえないかもしれない。
 いじめは、PTSDや、うつ病を発症させ、自殺に至ることが多いのは、多くの事件でわかってきている。いじめをしてはならない。いじめをみつけたら、相当長い間、被害者を観察して、心のケアをしなければならない。
 ご両親は、控訴する方針だという。いじめによる、うつ病、不登校、自殺、ニート化が多い。いじめはなくさなければならない。控訴審では、上記のような心の病気、自殺は、長い期間の後にも起きるのだから、いじめの後のTU君の様子の変化(しばらくして心の病気を発病したか)やほかに自殺する要因があったのか、十分検討すべきである。

うつ病が薬物療法で治らない例(B)2005年09月29日 14:02

書籍紹介「医者にうつは治せない」(3)=薬物療法で治らない例(B)

 書籍紹介「医者にうつは治せない」織田淳太朗、光文社新書

 著者自身が、うつ病になり薬物療法を受けたが、効果に疑問を持ったこと、入院中に知った薬物療法の弊害、治らない患者、自殺していった知人をみて、薬物のみによるうつ病の治療を批判している。
 薬物療法だけでは治らなかった例がいくつか紹介されている。こういうことは、医者主導のうつ病、自殺防止活動で紹介されることは少ない。病気ならば、療法によって、人によって、効く、効かないがある。治療法は、どれも(私たちの療法も)絶対ではないので、しばらく(6カ月~1年か?)治療して治らない場合、効果なしとして、他の療法を試みるべきだろう。
  • 薬物療法で治らない事例B
     長瀬氏の場合。札幌の建設会社の管理職になったが、部下同士が反目し合って、上司としてその仲介に入っているうちに追い詰められた気分になった。トップに管理職をおろしてくれるように頼んだが、受け容れられず、続けているうちにひどくなり、平成11年5月、近所の総合病院の精神科を受診。うつ病と診断された。1か月休職して自宅静養して、抗うつ薬を処方された。それでも、症状に改善がみられなかった。
     「薬はどんどん増えていきました。寝る前の睡眠薬を除くと、薬は朝、昼、晩と一日三回服用してましたが、最初は二錠だったのが、最後のほうには一回の服用だけでもてのひらにのりきらないぐらいになりましたから。一回の服用で七、八錠くらいはあったと思います。それでも症状はほとんど好転しませんでした。」
     会社をやめたいと訴えたが、主治医は職場にとどまることをすすめた。職場復帰したが、部署は変わらなかった。ある夜、深夜の2時頃、妻に「一人になってくる」という簡単な手紙を残して、車でづかけた。ふるさとの苫小牧の海を見て、気分が落ち着き、翌朝、病院に直行した。医師は、再度自宅療養をすすめた。1か月後に、復帰した。だが、嘔吐を繰り返すようになった。眠気も強く起きた。ある時、車を運転中に、眠って、事故を起こした。周囲から、「眠気や吐気は薬のせいじゃないか?」というが、主治医からは副作用については聞いていなかった。
     「私も『そうかな』と思い始めました。それに、薬を飲んでも症状が良くならない。別の医者に診てもらうしかなかったんです。」
     平成十二年二月、長瀬は市立三笠総合病院の精神科にかかった。ここに4カ月入院した。ここでは、薬の量が減らされ、ソフトボール療法が行われた。症状は安定したが、その後も、市内の病院を転々とした。平成17年6月、再び、三笠総合病院に3度目の入院。徐々に好転している。
    (以上、参照書籍の、23~44頁)
 市立三笠総合病院では、薬物療法のほかに、患者やスタッフがソフトボールを行うという療法を行っている。症状の好転がみられて、幸いである。ここに来る以前の長い薬物療法は、治らない事例である。薬物療法が効かない患者がいる。こういう患者には、他の心理療法を提供すべきである。病院が、うつ病に効果のある(カウンセリングならどれでもというわけではない)心理療法を提供できるカウンセラーとの連携の仕組みを作るべきである。病院、医者の収入を優先しては、患者を苦しめる。そのうち、自殺される。日本で自殺が減少しないのは、いつかでも、薬物療法に釘付けにする医療体制にも、その一つの原因がありそうである。

(関連記事/薬物療法は再発が多い)