感情・欲望の処理のしかた3種 ― 2005年11月26日 09:45
私たちの心理療法の重要なカウンセリング技法を「自己洞察法」と呼んでいます。これを、心の病気の人を治療する根本的な心得としてご指導しています。アメリカでは、マインドフルネス、アクセプタンス(M&A)の意味を持った心の処理のしかたの基本の基本であると、評価されています。思想的な宗教の要素ではないのです。
日本では、坐禅が似ているのですが、アメリカの人たちが大切にする部分を、やさしく教えようとはしていません。日本の坐禅は、宗教的思想と関係づけられています。開祖がいうように、目的をもたないで坐禅するのだ、という「思想」や、「悟り」を得るために坐禅するのだという、宗教的目標を持っています。カウンセリングに用いる「自己洞察法」は、坐禅と似ているが、目標や心得がかなり違っているということです。
「自己洞察法」を、心の病気の治療に、主として、ご指導していますが、本当は、すべての人が、小中学生から、身につけておくと、社会問題が減少するだろうということが確実な、心得です。
私たちは、すべての人が、日々、感情と欲望を起こします。感情は、怒り、不安、恐怖、ゆううつ、後悔、悲しさ、嫌悪などが、陰性の感情です。喜び、楽しさ、嬉しさ、などが陽性の感情です。欲望は、食、性、睡眠、などへの欲望、ものをほしがる欲望、建設的なことをしたくなる社会貢献的な欲望など種々あります。人間として自然のこと、社会的にもルールの枠内で認められている欲望もありますが、抑制しないと犯罪になるか、他者を傷つける欲望があります。
「自己洞察」、M&Aは、こうした、すべての人の感情、欲望についての基本的な心得を、瞬間瞬間実践することです。
人間が、感情・欲望を心に感じた時の、処理のしかたが、3種あります。
心の病気の人ばかりではなくて、すべての人が、実践したら、家族や職場での様子が違ってくるはずの「心の処理法」です。アメリカでは、医者、カウンセラー、スポーツ選手も、このトレーニングをするようです。すべての人が実践してくれればいいですね。私どもと共に、この実践に、関心を持つ方は、経営者、会社員、医者、看護士、教師、作家、僧侶、将来カウンセラーになる希望の学生、スポーツ選手、主婦、定年退職者、がん闘病中のかた、心の病気の方、治った方がさらに再発予防でする方などがおられます。みな、それぞれの領域に活かされるのは確かです。
自分の感情・欲望にふりまわされず、心の病気にならず、他者を傷つけるような行為をせず、自分の役割を果たし、自分の願い・価値の実現の方向に心を向ける瞬間瞬間の心得。
この心の用い方が、社会問題になっている、心の病気、自殺、心の病気による不登校・ひきこもり・ニート、非行犯罪、家庭内の暴力・虐待・離婚の減少に貢献できると期待できるのですが、特に、心の病気と自殺問題の領域に焦点をあてています。そのほか、そういう危機にない人でも、ストレスにより、心の病気や身体の病気になります。自己洞察法の実践をしていると、ストレスによる心の病気、身体の病気になりにくく、なっても軽いという効果が期待できますので、医療費の減少(家庭と国・自治体、両方の)にも貢献するはずです。
日本では、坐禅が似ているのですが、アメリカの人たちが大切にする部分を、やさしく教えようとはしていません。日本の坐禅は、宗教的思想と関係づけられています。開祖がいうように、目的をもたないで坐禅するのだ、という「思想」や、「悟り」を得るために坐禅するのだという、宗教的目標を持っています。カウンセリングに用いる「自己洞察法」は、坐禅と似ているが、目標や心得がかなり違っているということです。
「自己洞察法」を、心の病気の治療に、主として、ご指導していますが、本当は、すべての人が、小中学生から、身につけておくと、社会問題が減少するだろうということが確実な、心得です。
私たちは、すべての人が、日々、感情と欲望を起こします。感情は、怒り、不安、恐怖、ゆううつ、後悔、悲しさ、嫌悪などが、陰性の感情です。喜び、楽しさ、嬉しさ、などが陽性の感情です。欲望は、食、性、睡眠、などへの欲望、ものをほしがる欲望、建設的なことをしたくなる社会貢献的な欲望など種々あります。人間として自然のこと、社会的にもルールの枠内で認められている欲望もありますが、抑制しないと犯罪になるか、他者を傷つける欲望があります。
「自己洞察」、M&Aは、こうした、すべての人の感情、欲望についての基本的な心得を、瞬間瞬間実践することです。
人間が、感情・欲望を心に感じた時の、処理のしかたが、3種あります。
- ①ふりまわされる。
感情、欲望にふりまわされて、冷静さを失っている状態にある。 - ②何かの行動で、まぎらす。
心の病気や非行犯罪になる行為にただちに移る。食物(過食症になる)、アルコール(→依存症)、 自傷(リストカット)、強迫行為・(→強迫性障害)、非行・暴力・犯罪・いじめ・虐待など。
(自己洞察は、瞬間の心の用い方だから、スポーツしたり、好きな趣味などをするのとは違う次元の行為です。おちついたら、そういうことができる人でも、「まさに怒り・欲望が起きた瞬間」に、どうするかの次元のことです。そういう人でも、瞬間的には、①②をするかもしれない。スポーツ、芸術、芸能、政治、あらゆる領域で、成功しているかに見える人が、うつ病になり、自殺していますので、こういう「自己洞察法」のスキルを実践していないのです。自然に習得されるということはありません。坐禅に似ていて、その気になって習得しないと身につきません。自分は、習ったことはないが、そうしていると思う人がおられるかもしれませんが、違っているはずです。) - ③瞬間の自己洞察
静かに感情・欲望を観察して、感覚から衝動、行動にいたる自分の処理プロセスのどこにあたるかを瞬間的に洞察して、わかったら、その感情・欲望から心を放して、目前のもの(仕事、対話中の相手)に集中して、事実の情報収集に全力をあげる(マインドフルネス)。そして、2つの選択のどちらかを取る(アクセプタンス)。- (A)その感情・欲望をよびおこす原因になるものをすぐに変化させられないとわかった場合、不快であっても、善悪の判断をせずに、まぎらし行為に移らず、そのまま、その不快を受容しつづける。(たとえば、電車の中で、不安が起きたら、不安はそのまま受け入れて、目前のもの音に心を集中する。ある人と対面して馬鹿にされる言葉があって、怒りがこみあげた時、(あるいは、人の様子を見ていて怒りがこみあげた場合)、①②の行為にすぐ移らず、静かに相手の顔を見たり、声に集中して、(A)(B)どちらかの選択をする。相手が目上の人などで、状況を変化できない場合、怒りがあるのを自覚しながら、受け入れながら、相手の言葉を傾聴し、よく見ている。変更できる場合、(B)を選択する)
- (B)その感情・欲望を減少させることができる(②ではなくて、害にならない方法で)と判断できる場合には、その対策をとる。
(たとえば、その瞬間に、腹式呼吸法をすると、怒り・不安や欲望がしずまる。それで危機をきりぬける。電車の中で、逃げないで、腹式呼吸法をしている。おだやかな言葉を発すれば、状況を変えられるだろうと判断する場合、おだやかに、話しかけてみる。)
心の病気の人ばかりではなくて、すべての人が、実践したら、家族や職場での様子が違ってくるはずの「心の処理法」です。アメリカでは、医者、カウンセラー、スポーツ選手も、このトレーニングをするようです。すべての人が実践してくれればいいですね。私どもと共に、この実践に、関心を持つ方は、経営者、会社員、医者、看護士、教師、作家、僧侶、将来カウンセラーになる希望の学生、スポーツ選手、主婦、定年退職者、がん闘病中のかた、心の病気の方、治った方がさらに再発予防でする方などがおられます。みな、それぞれの領域に活かされるのは確かです。
自分の感情・欲望にふりまわされず、心の病気にならず、他者を傷つけるような行為をせず、自分の役割を果たし、自分の願い・価値の実現の方向に心を向ける瞬間瞬間の心得。
この心の用い方が、社会問題になっている、心の病気、自殺、心の病気による不登校・ひきこもり・ニート、非行犯罪、家庭内の暴力・虐待・離婚の減少に貢献できると期待できるのですが、特に、心の病気と自殺問題の領域に焦点をあてています。そのほか、そういう危機にない人でも、ストレスにより、心の病気や身体の病気になります。自己洞察法の実践をしていると、ストレスによる心の病気、身体の病気になりにくく、なっても軽いという効果が期待できますので、医療費の減少(家庭と国・自治体、両方の)にも貢献するはずです。
ニートの子どもに親苦悩 ― 2005年11月08日 21:19
NHK総合テレビで、「急増するニート・親の苦悩」(クローズアップ現代)があった。(11月7日)
ニートから脱出する親たちの試みが紹介された。キャリア・カウンセリングからの支援であった。ニートの子どもも働きたいのだが、働けないのだ、親が責めるだけだは解決しない、ということであった。親が、子どもと会話して問題に気付いて、問題解決に向けて適切な対応をしていくのがよい、という。責めるだけではなくて、日常身見近なできることをさがしてやって、少しづつ自信をつけられるようにしていく方向が教えられた。身近かなところでの行動をするということの中で解決の糸口をさがそうとする「行動療法」的な手法に見えた。
こういうニートの支援活動の中では、やはり、心の病気やストレスによる心身症という視点もあれば、解決がもっと早いだろうと思う。
ニートは、病気によるものだけではないのだが、それでも、心の病気、心身症によるものがある。そういうケースでは、それを治療しない限り、いくら、責められても、会話しても、働けない。
テレビで紹介された次のケースは、病気であるようだ。同様の状況があれば、親が子どもの問題を把握することが重要だが、病気の場合、働きかけは親よりも、専門家による病気の治療をするべきだと思う。親の介入の限度を考慮しないと、かえって長引かせて、悪い状況においこむ。病気ならば、病気を治すことは、専門家の支援を得るのが賢い。
ニートの支援には、必ず、まず、心の問題の視点も入れていかないと、支援対策にズレがおきます。心の病気ではない、と判明した人に対しては、それ以外の支援をすればよい。
ニートになっている人の中には、うつ病、パニック障害、対人恐怖症、心身症などの病気によるものもあるということを考慮していないと、本人と家族の苦悩を長引かせるでしょう。
ニートから脱出する親たちの試みが紹介された。キャリア・カウンセリングからの支援であった。ニートの子どもも働きたいのだが、働けないのだ、親が責めるだけだは解決しない、ということであった。親が、子どもと会話して問題に気付いて、問題解決に向けて適切な対応をしていくのがよい、という。責めるだけではなくて、日常身見近なできることをさがしてやって、少しづつ自信をつけられるようにしていく方向が教えられた。身近かなところでの行動をするということの中で解決の糸口をさがそうとする「行動療法」的な手法に見えた。
こういうニートの支援活動の中では、やはり、心の病気やストレスによる心身症という視点もあれば、解決がもっと早いだろうと思う。
ニートは、病気によるものだけではないのだが、それでも、心の病気、心身症によるものがある。そういうケースでは、それを治療しない限り、いくら、責められても、会話しても、働けない。
テレビで紹介された次のケースは、病気であるようだ。同様の状況があれば、親が子どもの問題を把握することが重要だが、病気の場合、働きかけは親よりも、専門家による病気の治療をするべきだと思う。親の介入の限度を考慮しないと、かえって長引かせて、悪い状況においこむ。病気ならば、病気を治すことは、専門家の支援を得るのが賢い。
- 母親が泣きながら、子どもの状況を語っていた。「5年の間に自律神経の病気になりまして。「俺が一番苦しいんだ」とか「こんな子どもに生んで」とか責められても何をしてやることもできないし」
こう語っておられたが、この子どもの場合、うつ病になっているようだ。自律神経の症状があり、自己否定があり、外に出ていく意欲がないのだから、うつ病であることが推測される。こういうケースの場合、キャリア・カウンセリング以前に、うつ病を治療しないといけない。家庭では、うつ病を治すノウハウはまずないので、うつ病の専門のカウンセリングを受けるのがニートからの脱出の早道であろう。こういう事例がある場合、病気のカウンセリングを受けるように言うべきだ。 - 30代前半の男性がニートのケース。6年前大学を中退、就職試験を続けて失敗。それ以来、働こうとしない。親は3年前に、定年退職、子どものニートにあせり、責めるが働かない。精神科医に相談したが改善しない。子どもは、外に出かけるが、親は会話ができず、何をしているかわからない、という。
うつ病の中には、軽いうつ状況が何年も持続するものもある。それかもしれない。そうすると、意欲がわかない。就職できないという心理ストレスが持続する場合、薬物療法だけでは、治りにくいので、心理カウンセリングでないと治りにくいだろう。 - 実名で出てきた、桐生の小池たかしさん(30歳)さんのケ-スも、軽い「うつ病」のようだが、その視点からではなくて、親が子どもの「心の傷」(こういう言葉が出るので、心の病気らしいとは自覚があった)に気がついて、やさしく接していくことで、ニートから抜けていく可能性をみつけることが紹介された。薬物療法で、うつ病をよく治せない現状では、家庭がとりくむしかなかったのだろう。だが、心理療法もある。
小池さんの場合、2回の就職体験があったが、1回目は残業が多くて、体調を崩した。2つ目は、きびしいノルマがあって、毎日のように、叱責されて、「自分はダメ人間だと思った、という。再び、体をこわし、退社。2度の挫折が「心の傷」となって、働けなくなった。実家に戻り、1年働かない。
小池さんの場合、父親が、幼いころから、きびしくしつけてきたので、苦しい胸のうちを親に相談できなかったようだ。ニートになって、半年、 父がそれに気がついて、「外で就職しろ」ということをやめて、自分の仕事(縫製の仕事、そと回りなど)を手伝ってもらった。そのうちに、たかしさんは、自信がついてきて、就職活動をするようになった。
小池さんの場合、父親の機転で、子どものニートからの脱出ができそうだ。一種の作業療法で治っていくようだ。
だが、他のケースがこううまくいくとは限らない。詳細は、省略するが、たかしさんも「うつ病」になっていたようだ。うつ病でも、体調が悪くなる症状がある。一回目の挫折は、過労による軽いうつ病(ないし、仮面うつ病)、2回目は、1回目のうつ病をひきずりながらの厳しいストレスで、また、うつ病の悪化。当時の自分の心のうちを語っていることから推測できる。だが、ご本人も、両親も、うつ病という視点には気がついておられなかったようだ。うつ病であれば、行動的介入よりも、心のカウンセリングのほうが、早く治る。このケ-スでは、両親の行動的介入によって、治っていった。
ニートの支援には、必ず、まず、心の問題の視点も入れていかないと、支援対策にズレがおきます。心の病気ではない、と判明した人に対しては、それ以外の支援をすればよい。
ニートになっている人の中には、うつ病、パニック障害、対人恐怖症、心身症などの病気によるものもあるということを考慮していないと、本人と家族の苦悩を長引かせるでしょう。
集団で過換気症候群発症 ― 2005年06月17日 08:14
めずらしい事件が報道された。6月初め、大阪府の追手門学院高校の生徒410人が修学旅行した際、29人が過換気の症状を訴え、うち、10人弱にいまも症状が残っている。一部の生徒がルール違反をしたため、旅先で学年集会を開いたところ、その場で多くの生徒が発症したという。保護者からは「生徒指導によるストレスがきっかけ」という見方が出ている。(朝日新聞、6月17日)
過換気症候群はパニック発作と似た症状がおきる。 過換気症候群は、強い呼吸困難、めまい、四肢のしびれ感、振戦、胸痛、動悸、口渇、パニック状態あるいは意識障害が起きる。通常は身体に異常な所見がなくて、不安、緊張、抑うつなど心因性に起きるものを指す。
パニック発作は、次の症状のうち4つ以上が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。13の症状のうち4つ以上が認められると「パニック発作」である。
このような発作が、繰り返し起こるようになると、外出するのをためらうようになり「パニック障害」になる。
この報道のように、一度に大勢が、過換気を発症するのは、現在の若い人のストレスに対する弱さ(運動不足で、セロトニン神経が弱体化)が拡大していること、旅行による疲れの蓄積、その学年集会での指導がストレスになった、などの要因が重なったのだろう。大部分の生徒が発症したのではないから、先生の指導だけに責任を負わせることはできない(生徒のセロトニン神経の弱体化、疲れたのはその生徒の個人行動=ルール違反か=もありうる、など)だろうが、指導のストレスも、一つの要因ではあったかもしれない。心の病気は、小さい頃からの育てられ方、家庭環境、運動不足、本人の選択した生き方、など種々の要因も背景となる。
学校の教師は、こういう心の病気の発症の仕組みも理解しておく必要がある。心の病気の予防的なカウンセリングの学習である。小中生の不登校のきっかけが、先生の言葉、指導からであったというのが多い。
セロトニン神経は、感情や衝動を抑制する神経であるので、セロトニン神経が弱体化すると、うつ病、パニック障害、対人恐怖などの心の病気になりやすい。また、感情、欲望を抑制できず、家庭での虐待・暴力、種々の組織での差別、いじめ、セクハラ、悪質なビジネス行動、などをする。大人のうつ・自殺が多いのも、悪質な人から誠実な人が追い込まれるという仕組みや、セロトニン神経が弱体化するような生活をしているのも、その背景にある。
あるいは、子供の場合、感情を抑制できず、「キレ」やすい。感情を処理できずに、過食、リストカット、自殺未遂のくりかえし、薬物依存、他者へのいじめ、非行・犯罪などに向かうこともある。
そのような重要な役割をはたすセロトニン神経を活性化する(予防と治療の両面に効果がある)には、坐禅に用いられる腹式呼吸法、散歩、ジョギング、などのリズム運動を毎日実践するのがよいとされる(有田秀穂氏(東邦大学教授)『セロトニン欠乏脳』NHK出版)。
子供も大人も、このようなことを実践されることをおすすめしたい。
過換気症候群はパニック発作と似た症状がおきる。 過換気症候群は、強い呼吸困難、めまい、四肢のしびれ感、振戦、胸痛、動悸、口渇、パニック状態あるいは意識障害が起きる。通常は身体に異常な所見がなくて、不安、緊張、抑うつなど心因性に起きるものを指す。
パニック発作は、次の症状のうち4つ以上が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。13の症状のうち4つ以上が認められると「パニック発作」である。
- (1)動悸、心悸亢進、または心拍数の増加
- (2)発汗
- (3)身震いまたは震え
-
(4)息切れ感または息苦しさ
- (5)窒息感
- (6)胸痛または胸不快感
- (7)嘔気または腹部の不快感
- (8)めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ
- (9)現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分自身から離れている)
- (10)コントロールを失うことに対する、または気が狂うことに対する恐怖
- (11)死ぬことに対する恐怖
- (12)異常感覚(感覚麻痺またはうずき感)
- (13)冷感または熱感(紅潮)
このような発作が、繰り返し起こるようになると、外出するのをためらうようになり「パニック障害」になる。
この報道のように、一度に大勢が、過換気を発症するのは、現在の若い人のストレスに対する弱さ(運動不足で、セロトニン神経が弱体化)が拡大していること、旅行による疲れの蓄積、その学年集会での指導がストレスになった、などの要因が重なったのだろう。大部分の生徒が発症したのではないから、先生の指導だけに責任を負わせることはできない(生徒のセロトニン神経の弱体化、疲れたのはその生徒の個人行動=ルール違反か=もありうる、など)だろうが、指導のストレスも、一つの要因ではあったかもしれない。心の病気は、小さい頃からの育てられ方、家庭環境、運動不足、本人の選択した生き方、など種々の要因も背景となる。
学校の教師は、こういう心の病気の発症の仕組みも理解しておく必要がある。心の病気の予防的なカウンセリングの学習である。小中生の不登校のきっかけが、先生の言葉、指導からであったというのが多い。
セロトニン神経は、感情や衝動を抑制する神経であるので、セロトニン神経が弱体化すると、うつ病、パニック障害、対人恐怖などの心の病気になりやすい。また、感情、欲望を抑制できず、家庭での虐待・暴力、種々の組織での差別、いじめ、セクハラ、悪質なビジネス行動、などをする。大人のうつ・自殺が多いのも、悪質な人から誠実な人が追い込まれるという仕組みや、セロトニン神経が弱体化するような生活をしているのも、その背景にある。
あるいは、子供の場合、感情を抑制できず、「キレ」やすい。感情を処理できずに、過食、リストカット、自殺未遂のくりかえし、薬物依存、他者へのいじめ、非行・犯罪などに向かうこともある。
そのような重要な役割をはたすセロトニン神経を活性化する(予防と治療の両面に効果がある)には、坐禅に用いられる腹式呼吸法、散歩、ジョギング、などのリズム運動を毎日実践するのがよいとされる(有田秀穂氏(東邦大学教授)『セロトニン欠乏脳』NHK出版)。
子供も大人も、このようなことを実践されることをおすすめしたい。
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